被災地からエコシティへの軌跡(2)-エコシティ住民の実践ガイド

ナマケモノ倶楽部が、1999年の設立時よりエコシティ(Ecociudad)のロールモデルとしてきたエクアドル・バイーア・デ・カラケス市とリオ・ムチャーチョ農園。その1で紹介したニコラが中心となり作成した「エコシティ住民の実践ガイド」は、街に暮らす人々の視点にたった「私にできること」が網羅されています。抜粋して紹介します。


エコシティ住民の実践ガイド

(抜粋・2004年バイーア・デ・カラケス市発行、翻訳:井上智晴)


はじめに


絶滅した種は永遠に戻りません。「ガイア」と呼ばれるこの緑の惑星、私たちの暮らす母なる大地を守るため、今こそ行動に移すときです。地球がこれからも地球であり続けるために、シンプルな生活を心がけましょう。


パチャ・ママ(キチュア語で「母なる大地」)は、祖先から受け継いだ遺産ではありません。私たちの子孫からの借り物です。直し方もわからないのに、なぜ人間は地球を壊し続けるのでしょう。問題を起こす側ではなく、解決を見出す側に身を置きましょう。

私たちは、地球での暮らし方もなっていないのに、どうして月に行こうとするのでしょう。

まだ地球でできることはたくさんあります。木を植えることは、生命を植えること。さあ、一緒に取り組みましょう。

ゴミは分別しましょう。きれいな町とは掃除をする町ではありません。汚さない町を、きれいな町というのです。廃棄物は宝の山です。無駄にせず、活用しましょう。紙はリサイクルしましょう。リサイクルペーパーとは、命拾いした樹木です。


エコシティ・バイーアの未来に向けて、毎日、小さなエコ活動に励みましょう。



エコシティとは


エコシティとは、人々の活動が持続的であり、環境と融和した都市の組織的エコシステムのことです。そこでは、現在と未来においても環境に破壊的な影響を与えないよう資源を最大限に活用する手段が用いられます。たとえば、ゴミのリサイクルが実施され、飲料水管理、レクリエーション空間としての公園や自然保護区、相手へと伝える環境教育、代替手段、ゆとりあるエネルギーの確保、無公害の交通手段、健康的な空間などが挙げられます。


まず、エコシティの環境条例に則したアクションプランを計画し、自治体の参加を通して、住民の生活により快適な場所となるよう進められます。人々は環境問題と具体的な解決方法を学び、日々の暮らしで実践することで、環境と天然資源に配慮した、質の高い生活を享受できるのです。


エコロジーな町は、生産的、進歩的であるだけでなく、持続性を保っています。住民は自給自足、自然への負荷をかけない都市農業、ごみゼロ化、代替エネルギーと代替交通手段などを実践することができます。


バイーアを完全にエコロジーな町に変化させるには、各分野で緩やかに進められるそれぞれのプロセスを、住民向け環境教育として長期的に実施していかなくてはなりません。海外でのエコシティの例としては、ブラジルのクリチバ市、ニュージーランドのワイタケレ市、エクアドルのロハ県などがあります。


バイーアがよりエコロジーな町となるには?


・浄水場、固形ゴミ処理、下水処理のインフラ設備を設立する。 ・企業と連携した廃棄物管理の向上、ゴミ減量プログラムの実施する。

・庭園や公園から出る有機物のたい肥リサイクルを通じて、ごみゼロ運動を推進する。 ・太陽光、バイオガス、風力、バイオディーゼルなど、代替エネルギーを活用する。 ・自転車用道路を設置し、自転車やエコタクシーの利用を増やす。 ・歩道を整備し、住民により快適な町空間を生み出す。 ・公空間における緑化をすすめ、休憩やレクリエーションの場を増やす。

・公園や花壇、庭など、公共・民間のスペースでの果樹栽培を奨励する。

・エコシティを監視する環境警備機関を設置し、住民への助言と知識の普及を行う。

・公教育に環境関連テーマを盛り込む。


いくつかのプログラムはすでにスタートしています!


上段左から:エコタクシー、環境壁画、マングローブ植林ツアー

下段左から:市内で収集された有機ごみをコンポスト(たい肥)にし、苗木をつくる

1人ひとりにできること


●レストランができることは?

・果物や野菜くずなどの食べ残しは農場や養豚場で活用してもらいましょう。 ・コーラやビールのフタを集め、保育園や学校で子供の遊びに使ってもらいましょう。 ・エビや魚の残りは必ず収集車に。ポリ袋で通りに放置してはいけません。 ・ネズミを寄せ付けないよう、通りに食べ物の残りを捨ててはいけません。 ・できる限り、布製ナプキンを使いましょう。 ・リサイクル可能な燃えないゴミは、分別しましょう。 ・清掃や食器洗浄、ユニフォームの洗濯には、石鹸か生分解性の洗剤を利用しましょう。 ・水は乾いたガラスのコップに注ぎましょう。ペットボトルの利用を減らしましょう。 ・ビールはリターナブル瓶を販売しましょう。使い捨ての飲料提供を減らしましょう。


●ホテルができることは?

ホテルはゴミの一大生産地であると同時に環境汚染源です。改善に取り組みましょう。

・タオルやシーツを毎日洗うのは、水や洗剤を大量に浪費し、環境汚染源にもなります。各部屋に、エコ清掃の案内を掲示しましょう。 「世界中の多くのホテルで毎日タオルやシーツを洗うことは、何百万㎥の水と何トンもの漂白剤を使うことになり、環境の悪化につながります。通常、シーツとタオルは毎日交換しますが、必要がなければこのカードを枕元に置いて下さい。当日のタオルとシーツは交換しません。」 ・各部屋にガラスのピッチャーとコップを置きましょう。ペットボトルを減らしましょう。 ・周囲を庭として活用したり、植木鉢や水草を配置したりと、きれいに飾りましょう。 ・省エネの電球を利用しましょう。また、節水器具を使いましょう。 ・台所では、上段のレストラン向けのアドバイスをぜひ取り入れましょう。


●学校でできることは?

.きれいな学校とは、よく掃除をする学校ではありません。汚すことのない学校であることを覚えておきましょう。

・教育施設をエコロジースクール化させる計画を、教師、生徒と話し合いましょう。 ・教室での紙ゴミは分別し、リサイクルしましょう。 ・家庭で実践できるよう、生徒と「一緒に」有機ゴミでコンポストを作りましょう。 ・洗面所からの排水を植物の水やりにリサイクルするシステムを作りましょう。 ・学校の壁に環境に関連する壁画を描きましょう。 ・6月の「環境週間」だけでなく、年間を通じて常に環境行動を意識しましょう。 ・学校で「ゴミゼロ宣言」を行い、廃棄物、段ボール、瓶などを再利用していきましょう。 ・自家製のコンポストから学校や街、生徒の家庭に苗木畑をつくりましょう。 ・学校ごとにエコクラブをつくり、リサイクルやコンポストづくりを地域に広めましょう。 ・課外学習として、生態系の循環が感じられる、近隣の自然豊かな場所へ出かけましょう。


●子どもにできることは?

・このガイドを読んで、できることは実践し、お父さんやお母さんに教えてあげましょう。

・教室に紙のリサイクルボックスを設置しましょう。自宅に作ってみましょう。 ・地域や学校にエコクラブをつくりましょう。クラブの活動を通じて、リサイクル可能なゴミを収集でき、また、リサイクル施設に持ち込むことで小さな活動資金もできます。 ・両親や先生たちと自然の中を散策してみましょう。 ・植物の葉や、花をむやみに摘み取るのはやめましょう。植物も生きています。

・パチンコで鳥を殺してはいけません。鳥も生き物です。


●ドライバーができることは?

・停車時はエンジンを停止しましょう。ディーゼル車であっても同様です。

・エンジンには公害防止の付属部品を取り付けましょう。 ・使い古した油は、牧畜業者向けに容器に保存しておきましょう。 ・魚介類の運搬車は、停車場を汚さないよう溶け出した氷水を受ける容器を備えましょう。 ・中古タイヤを再利用しましょう。タイヤを利用して小ビジネスを始めたい人、種を蒔く際の容器、子ども向けの揺り椅子、サンダルや支柱としても活用できます。


●食品加工工場でできることは?

製造物責任法(PL法)は、廃棄物を適切に処理することを事業者に義務付けています。 ・汚れた液体を洗い流す際にはフィルターを利用しましょう。塩素、重亜硫酸塩、機械油、血液、魚の油…それぞれに適した除去技術があります。

・エンジンからの排気は、フィルターや触媒装置を利用して減少できます。 ・食肉の残部や骨は再利用し、排泄物は肥料にしましょう。 ・魚粉、エビ、飼料の製造加工工場は、空気清浄フィルターを利用して悪臭を取り除きましょう。上澄みと不純物を除去して、液体を再利用します。また、固体を除去しましょう。 ・エビや魚の包装業者も、エビの頭、えら、ひれ、内臓を利用して肥料をつくれます。


●養蜂、養豚、エビ養殖業者にできることは?

・有機肥料をつくるため、排泄物のタンクを活用しましょう。 ・尿や液体は液体肥料に利用できます。ガスも燃料として利用できます。 ・ハエ退治には粘着テープを使いましょう。虫退治には、パイコ、マリーゴールド、アルバアカなどの有用植物を活用しましょう。感染源の除去に努めましょう。 ・生物コントロールを取り入れましょう。木を植えれば、ハエを捕食する鳥がやってきます。また、カエルやヤモリも昆虫を捕食します。 ・エビの養殖には持続可能で、汚染の少ない方法を用いましょう。川に戻される水が、よりきれいであるように、配合飼料にはタンパク質をより少なく、配合飼料の比率を低くするよう第一次産品の依存度を高めましょう。 ・養殖池のエコシステムや、生物多様性を回復しましょう。岸や河川沿いには常にマングローブを植え、周囲に植生が戻るようにしましょう。

写真:ニコラたちの取り組みにより復活した「エコエビ池」。



●民芸品工場でできることは?

・リサイクルセンターの指定に従い、廃品を分別しましょう。鉄、瓶、タイヤ、ゴム、プラスチック、布、紙、段ボールなどは、リサイクル業者が買い取ってくれます。 ・潤滑油、溶剤、サビ落とし、使用済みのオイルはリサイクル用の容器に集めましょう。 ・サンドペーパー、燃え残り、磨き粉の残りも同様にリサイクル用容器に集めましょう。 ・布切れ、皮や繊維の切れ端などの廃品も近代美術に勤しむ人々にとって材料となります。


●観光客にできることは? ・旅行時においても、リサイクル可能な容器を利用しましょう。 ・それぞれの場所の規定に従って、ゴミを分別しましょう。 ・その土地の文化遺産を尊重しましょう。 ・自然には足跡のみを残し、写真と思い出のみを持ち帰りましょう。

・植物、動物、昆虫を移動させるのは止めましょう。


パーマカルチャーのシステムを説明するニコラ(右)

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