サティシュ・クマールさんの「Go ahead!」〜リサージェンスの歴史をつなぐ物語


50周年式典で挨拶するサティシュ・クマールさん

『リサージェンス(Resurgence)』という英文誌をご存じですか?


リサージェンス誌(2012年に環境雑誌エコロジスト誌を統合し、リサージェンス&エコロジスト誌と改名)は、スモール・イズ・ビューティフルを提唱したE.F.シューマッハーらが始めたエコロジーと精神性を中心とした隔月間の雑誌で、サティシュ・クマールさん率いる慈善団体リサージェンス・トラストが発行しています。英国で最も歴史のある環境雑誌で、創刊54年、世界20カ国に4万人の読者がいます。2016年の創刊50周年式典には、チャールズ皇太子から祝賀ビデオメッセージも届きました。


誌面に登場するのは、社会の第一線で活躍するリーダーたち。毎朝の水差しの水を大切にして初めて政治ができるとしたガンジーの逸話の記事、サティシュの「友だちになるのに条件はつけないでしょ」という個人の無条件の愛の話から世界の平和を語る記事、各地域の教育、医療、介護、心のケアなど、人と人とのつながりの記事、ヘレナ・ノーバーグ=ホッジのローカル・フューチャーの寄稿記事、ヴァンダナ・シヴァの種を守る寄稿記事、ロブ・ホプキンスの未来を創造する寄稿記事など、よりよい未来への提言として、読者に「考える糧」を届けています。また、詩や絵などのアートにあふれているのも特徴です。


筆者はご縁をいただいて、同誌の日本の販売窓口として、和訳を添えて、日本のみなさまに届ける役目を担っています。本稿はそのご縁の物語。本稿の読者のみなさんのご縁でもあると思います。さあ物語のはじまりはじまり。。。



時は1966年5月、英国。リサージェンス誌の初版が世に出ます。当時の主な懸念は、冷戦、原子力による滅亡、べトナム戦争その他の紛争。そのような世の中に、ただ平和雑誌をもう一つ加えるということではなく、新世代の多様な懸念をより多く届ける試みでした。


初代編集長は、平和と環境保護運動のカリスマで、「ローカリゼーション」という考え方の事実上の創始者であるジョン・パプワース。彼は、経済学者レオポルド・コール、経済学者E.F.シューマッハー、詩人ハーバート・リードと協働し、リサージェンス誌の創刊者兼編集者となりましたが、ケネス・カウンダ元大統領からザンビアで個人秘書にと声をかけられ、1973年にリサージェンス誌の編集長としての地位をサティシュ・クマールに譲りました。


サティシュは、イギリスの平和思想家。インドで生まれ、9歳で出家しジャイナ教の修行僧となり18歳のとき還俗。マハトマ・ガンジーの思想に共鳴し、2年半をかけて無銭徒歩で、核大国の首脳に核兵器の放棄を説く1万4000キロの平和巡礼。1973年から英国に定住。E.F.シューマッハーとガンジーの思想を引き継ぎ(インド国外にガンジーの思想を広めた功績により2001年にジャムナラル・バジャージ国際賞を受賞)、スモール・スクールとシューマッハ・カレッジを創設。1973年から2016年までの43年間リサージェンス誌の編集長を務めました。


これは、英国ジャーナリズム界で最も長く務めた編集長という長寿記録。廃刊を懸念する人もいる中で雑誌を存続させ、ゆっくりではあるものの堅実な進歩で国際雑誌に成長させ、ガーディアン紙の記事で、「英国のグリーンムーブメントのスピリチャルで芸術的な最先端」と評されるに至りました。サティシュは名誉編集長として、今も精力的に執筆し、講演し、広告塔としての役割を果たしています。



同誌は、日本でも、辻信一さんをはじめ活動家に愛読者が多く、枝廣淳子さんは価値のある記事を日本に伝えたいという長年の思いを実現し、2009年に「つながりを取りもどす時代へ 持続可能な社会をめざす環境思想 リサージェンス誌選集」(大月書店)を出版。また、サティシュの友人でボディショップの設立者アニータ・ロディックも、ボディショップの店頭でリサージェンス誌を販売して、その活動を応援していました。その後、2012年より日本の取扱い窓口をナマケモノ倶楽部が担当。2015年より、筆者の「たのしあわせ研究所」が窓口を引き継いで、和訳オプションを追加して販売しています。その経緯は以下。


筆者は、2012年より米国の自給自足雑誌マザーアースニューズの英文誌に翻訳協力者による和訳をつけて半額で提供するビジネスモデルを運営。このモデルを生かして、英文誌リサージェンスを日本に広めるために、ナマケモノ倶楽部に和訳の提供を申し出たところ、辻 信一さんをはじめナマケモノ倶楽部事務局から英文誌の販売窓口のお役目も併せて担う提案をいただく。2015年のサティシュ来日の際に、打ち合わせを持ち、段取りをひと通り説明すると、サティシュが一言「Go ahead!(さあ進めよう!)」そこからすべてが始まりました。


サティシュの太陽のような愛の力を浴びながら、筆者は、偉大な雑誌を広める喜びを感じています。この雑誌を通じて、日本の皆さんが、「よりよい未来を自ら創る」きっかけになるよう活動しています。 リサージェンス日本版では、オールカラーで写真やアートも豊富な英文雑誌の美しさそのまま、ポストへお届けし、各号から4つ以上記事を選んで提供できるように、翻訳協力者に翻訳いただき(翻訳希望者歓迎)、英和翻訳の校正経験20年の筆者が校正した上で、和訳文PDFを電子メールでお届け。読者のみなさんが世界中どこに住んでいても、同じ価格で、和約付きのリサージェンス誌をお楽しみいただけます。


環境英語の勉強をしたい、ホリスティックなアンテナをはりたい人にもおすすめです。1年間定期購読すると、英文のホームページから購読者としてログインして、過去54年間の記事すべてを読めるのは、なんとも有難い特典だと思います(英文なのですが、サティシュさんの過去記事については、順次翻訳を進めています)。


よろしければ、あなたも、リサージェンス誌を購読して(購読はこちら)、価値のある活動の存続を支援してください。そして、記事から刺激をうけて、あなた自身が、あなたならではの変革者となり、素晴らしい人生を送ってください。Go ahead!


「Thank you! Thank you! Thank you!」大きな声で、大きく手を広げて、サティシュさんが言っていますよ。

沓名 輝政(くつな てるまさ)


ナマケモノ倶楽部で日英翻訳・通訳を担当。たのしあわせ研究所所長。国際折紙講師。週1起業家。マイファームの自産自消の講師。


1972年愛知県生まれ。大学で物理を学び、GEなど日欧米のメーカーに20数年勤務。技師、技術営業、プロダクトマネージャ、事業部長を歴任。英語で技術と人をつなぐプロ。年間30万ワードの翻訳プロジェクトを完遂。

2010年に那須非電化工房の「地方で仕事を創る塾」第1期を卒業後、月3万円ビジネスから着想して、2012年にマザーアースニューズ日本版を創刊、2015年にリサージェンス日本版を創刊。

2016年より小学校のPTA会長、市内小中学校のPTAの代表を歴任。平日昼間は企業の翻訳エンジニア。朝晩は個人事業主。土日祝日は家長兼長男。妻、娘、息子と、畑、林、神社とお寺に囲まれた木の家で「わくごん = ワクワクごきげん」に暮らす。


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