チコロナイの森で感じた、自然と人間のつながり直し方 馬場直子

こんにちは、ナマケモノ事務局の馬場直子です。

北海道日高地方、二風谷(にぶたに)は、昔から現在まで、アイヌ民族が多く暮らす村として知られています。その二風谷に暮らす農家で文化伝承者の貝澤耕一さんが、父である故・貝澤正さんの遺志を継ぎ、森の再生とともにアイヌ文化の伝承、自然と人間のかかわりの学習の場として立ち上げたのが「チコロナイ(アイヌ語で「私たちの沢」)」です。


再生されつつあるチコロナイの森

NPO法人ナショナルトラスト チコロナイブログより:

アイヌ民族がかつてその恵みを受けて暮らしていた自然林を再生、保全し、それを後世に引き継ぐことにより、自然と人間の関わり、アイヌ文化を学ぶと共に、環境の保全を図ります。


そのチコロナイ主催で秋の作業が行われ、コロナ対策をした上で東京から参加してきました。道内から集まった人は30人強。昨年、貝澤太一さんをはじめとした地元の若い世代に一新された理事メンバーたちが、参加者の顔合わせや本日の作業内容を説明、グループ分けをしていきます。今回は理事長宅の畑で育てている苗木の移植、鹿に破られてしまったフェンスの修繕、ヤマザクラ、シラカバの植林、お昼仕込みのグループにわかれました。


現在、チコロナイで保有している山は30ヘクタール。エリアにより森の植生、再生の具合が異なっています。ヤマザクラを植林したのは2ヘクタールの斜面。ここはなぜか、過去10年、木を植えても根づかず、苦労しているエリアなのだそうです。今回は根付きますようにと、穴を掘り、苗木を植えてから土を戻し、踏み固めます。


そのあと、理事長・太一さんの案内で、チコロナイの森を散策しました。恵みの秋だけあって、キウイフルーツのような味のするコクワの実、山椒、かわいらしく目を引くオオツリバナ、マタタビなどが森に点在。みなで集めながら歩きます。クマゲラが飛んでいるのを教えていただき、初めて見ました。


チコロナイの20年の活動で、森になりつつある広葉樹林のエリアは私たちの背をはるかに超え、育っていました。植林したヤマザクラは1mちょっと。落葉した葉っぱの布団が栄養となり、土壌を肥やし、また、鳥や生き物たちが土を耕して、一緒に森を育てていく。そのゆっくりとした時間を想像しました。


左:苗畑から森に植えるヤマザクラを選ぶ貝澤耕一さん

中央:斜面に2人1組でヤマザクラやシラカバを植林

右:祖父・貝澤正さんが造林したトドマツの森のなかで説明をする理事長・貝澤太一さん



お昼を食べた後は、貝澤耕一さん・太一さん宅の横を流れるシケレペ沢沿いの散策ときのこ狩りでした。沢の入り口で「これから山に入らせていただきます」とカムイノミ(アイヌ民族に伝わる儀式)をしてから、足をすすめます。


こちらの森は沢沿いということもあり、湿気に満ちた森で倒木も緑のコケで覆われ、午前歩いた森とはがらっと雰囲気が異なります。ボリボリ(ナラタケ)のほか、アカエゾガエル、鹿の足跡、触るとほわっと白い瘴気をだすきのこなどなど、森のいきもののサークルの中に「入らせていただく」という感覚が自然とでてくるような世界でした。春は山菜がたくさんとれる森でもあります。


日高管内で鹿の個体数が増えているそうで、それに伴い木の若い芽が食べられてしまったり、畑の稲や作物がかじられてしまうという獣害が近年増えていると聞きました。「獣害」というと、動物が悪いように聞こえますが、生態系のバランスが崩れるた結果、人間の暮らしにも影響が及んでいる。その生態系のバランスが崩れた原因はむしろ人間の暮らし方の方にあることを、短時間の森の散策で考えさせられました。


現在、ナマケモノ倶楽部では「Be the Forest!ミーティング」という、森と人とのかかわりを学び、断たれてしまったつながりを取り戻し、参加するための学びをはじめています。

チコロナイでは、毎年、春と秋に作業をしているので、次回はナマケモノ倶楽部のメンバーたちと訪れたいなと思いました。


NPO法人チコロナイ・ブログ https://blog.goo.ne.jp/cikornay


シケレペ沢を散策

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