ヘレナ・ノーバーグ=ホッジさんの言葉ー「しあわせの経済」世界フォーラム2019基調講演より

ちょうど1年前の今日、日本で3回目となる「しあわせの経済」世界フォーラムが横浜市戸塚で開催されていました。ローカル・フューチャーズを率いるヘレナ・ノーバーグ=ホッジさん(映画「しあわせの経済学」監督、言語学者)をはじめ、アメリカ、メキシコ、タイ、中国、そしてパレスチナから、各地でローカリゼーション運動に取り組むリーダーたちが集まり、その事例を報告し、2日目は、日本の事例報告がテーマ別に10以上の分科会として展開されました。(「しあわせの経済」世界フォーラム2019公式サイトはこちら


実行委員会の事務局を担い、呼びかけ人代表の辻さんはじめ、会員さんからも多くのボランティアの参加をいただいたこのフォーラム。同サイト内でも報告記事がアーカイブされていますが、コロナ禍の今、改めてグローバルからローカルへの道筋を、ヘレナさん基調講演の一部を抜粋しながら、みなさんと共有したいと思います。(事務局)

ヘレナ・ノーバーグ=ホッジさん

今こそ、ビッグ・ピクチャーに目覚めるとき


現在の私たちが、より幸せで健全な社会に向かって離陸するためには、ビッグ・ピクチャー、大局に立って世界をみる視点が求められています。私たちの目の前には数えきれないほどの危機があり、それらは根幹でつながりあっています。その構図を理解すれば、問題の解決は私たちが思っているよりずっと簡単です。(略)


ビッグ・ピクチャー(略)、それは生態系のあり方であり、人間の「しあわせ」の追究です。ビッグ・ピクチャーの視点に立てば、私たちが進むべき道は、グローバル化された世界ではなく、もっと小さなシステムにあることが見えてきます。(略)


現在の経済システムでは、大企業が化石燃料を使い、まさに地球をまたにかけてグローバルに取引しています。しかし、その実態は「狂気の貿易」にほかなりません。(略)狂気な貿易システムは、政策にも連鎖します。グローバル化という名の効率化が失業を増大させ、年金者を不安にさせます。人々から自尊心を奪えば、生計を立てる術を奪えば、彼らは暴力に走ります。その暴力はコミュニティに向けられるかもしれませんし、女性に向けられるかもしれません。

こうやって競争し合うシステムではお互い敵になってしまいます。私たちはこれらの問題を個別に解決しても、根本を解決することはできません。問題はすべて経済システムに起因しています。この点に気づくことができれば、同時に希望を見出すこともできるのです(略)


メガバンクやグローバル企業は、生命の多様性を尊重することはできません。組織的に不可能です。ですから、ビジネスの規模をどんどん小さくしなければいけません。自然と人間という資本を使い、我々のニーズを満たす経済システムは、地球が持続可能でこそ可能です。


ローカルムーブメントは草の根から

ローカルフードムーブメントは世界中でどんどん広まっています。毎日のように新しい活動を耳にします。何百もの活動が世界中で展開されています。私が希望を感じるのは、これらの運動が政府や大手メディアによってではなく、人々が草の根レベルでどんどん目覚めている点です。輸送を減らし、プラスチック包装を減らし、化学薬品を減らしながらも生産性を上げ、有意義な食卓を生み出すことができる。ローカル経済は可能なのです。

大手メディアは「人々の農業離れ」を指摘します。でも、実際に私が知っている若い世代は、都市を離れ、デスクワークを離れて、農的生活をはじめている。彼らは本当に幸せそうです。最近、韓国で若い活動家たちと会う機会がありました。皆さんとても活き活きとしていました。(略)

ローカルビジネスのアライアンスを強化していくこと。地域でつながることでローカルビジネスの実体を作り、互いに頼り合うことで小さな独立したビジネスをつなげていく。地域の消費者やサポーターがこのエコロジカルな経済を支えていく。これこそが地球規模で展開できるローカルな「しあわせの経済」です。これは一人だけの経済ではありません。地球に住む私たち一人ひとりの権利なのです。(略)



写真左:「しあわせの経済」マルシェ出店者

写真中央:キャンパス中庭に展示されたバイオディーゼルカー

写真右:多くの人の「菌」が交流した、手前味噌づくりワークショップ



ビッグ・ピクチャー・アクティビズムに参加しよう

世界中で人々は動き始めています。「しあわせの経済」を創ろうとしています。コミュニティを再構築する際に大切なのは文化です。音楽や歌、そしてお祝いごと。かつて私たちの周りにふつうにあった時間は、世代を超えて若者や年配の人が交流できる場でもありました。そういった楽しみの時間や文化につながり直すところから始めましょう。

私たちにできること、それは、まず私たち一人ひとりが一歩、行動することです。そうしたら、同じような気持ちを持っている人と会うことができるでしょう。そして、数人集まったらグループをつくって、定期的に集まりましょう。私たちには何ができるんだろう、生活を良くするためにはどうしたらいいのだろう、と自由に考え、試してみたりするのです。

ローカルを核にしたムーブメントは着実に広がっています。そして、時にこういった行動はとても早く成長することがあります。

最後にみなさんに伝えたいことは、「あきらめないで」ということ。既存のシステムが大きいからといって諦めずに、私たち草の根の力を信じましょう。個々の違いを超え、ビックピクチャーの中でつながる活動をしていきましょう。


>>基調講演全文および動画(英語)はこちら

http://economics-of-happiness-japan.org/helena-keynote


ヘレナさんがウェブ上で2017年に発表した資料を、日本人向けにわかりやすく整理して刊行した『ローカル・フューチャー”しあわせの経済”の時代が来た』のご一読もお勧めします。ご注文はこちら


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