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サティシュからのメッセージ:「恐怖と愛」について


愛の革命 ― 地球のための行動、それは愛の行為


サティシュ・クマール

翻訳:辻 信一

イギリス議会は気候に関する国家非常事態宣言を出した。90歳になるBBC放送の象徴的存在デヴィッド・アッテンボローから、16歳のスウェーデンの活動家グレタ・トゥーンべリまで、かけがえのないわれらが地球の窮状を訴え、世界中の人々の注意を喚起する発言が注目されている。「エクスティンクション・レヴェリオン(絶滅への反抗)」の旗の下に集まった1500人の非暴力デモの参加者たちが逮捕された。真実を語ることを政府に要求し、気候危機について直ちに取り組むことを要求したという理由だけで。

これらのよく知られた発言や出来事の背後では、何百万という普通の市民が動き始めている。老若男女、宗教をもつ者ももたない者も、黒人も白人も、金持ちも貧乏人も、自分の生き方を変え、小さな解決法を生み出し、政策を転換させるために活動している。この危機の原因そのものであるシステムに抵抗し、NOを突き付けるだけではない。何百万という人々が草の根レベルで建設的な代替案へのYESを表明している。


彼らは低炭素のライフスタイルを選び取っている。肉食を手放し始めている。エネルギー浪費型の農耕や食品加工を拒否し始めている。再生エネルギーに取り組む企業を支援している。二酸化炭素削減の為に自分の家の屋根に太陽光パネルを置いたり、家屋の断熱性を高めたり・・・。プラスチックバッグを断り、ペットボトル入りの水を買わず、使い捨てカップに入った飲み物は飲まない。


ことの大小を問わずこれらはみな、問題の根本に届く活動だと言える。気候危機に関心を寄せ、かけがえのない地球のために行動することは、自分たちみんなの責任だという信念が、彼らを突き動かしているのだ。

私は全身全霊をもって、学校ストライキに立ち上がった生徒たちや環境活動家たちを支持し、支援する。それが地球上のどこであろうと、誰であろうと。ただ私はグレタ・トゥーンベリ、そして「Fridays for the Future(未来のための金曜日)」、「エクスティンクション・レベリオン」などに集う老若の活動家のみなさんにこうお願いしたい。


「どうか愛の力をもって気候危機に立ち向かう運動を創りあげてください。どうか恐怖の力に押し流されないでください。あなた方、そして私たちの闘いが愛に導かれますように。なぜなら、恐怖が人を脅かすのに対して、愛の力は持続的で、他者を説得し、世界を変えることができるから」

奴隷制、アパルトヘイト、そして帝国主義に終止符を打つための運動は、愛の指導者たちによって導かれた。女性参政権運動の女性たちを支えたのも愛の力だった。こうした人々が切り拓いた道を、私たちも歩もう。そして、母なる大地への深い愛に導かれながら、壊滅的な事態から地球を守るために闘おう。これは愛の革命だ。愛とは、論理的であると同時に魔術的。地球は愛を体現するもの。地球は愛、愛は地球の別名と言っていい。地球は私たちの先生。私たちはその地球から、愛の芸術を学ぶ。地球は私たちを愛している。そして私たちは愛をもって地球に応える。

私たちが行動するのは森や草花への愛のため。私たちは川を、海を愛する。壮大な山々を、命の源たる土を。素晴らしき鳥たち、そして動物たちを。私たちは人々を、未来の世代を愛する。だからこそ、地球を傷つける政策や行為、極地の氷を溶かし、海水面を上昇させるグローバル・ヒーティング(地球高温化)にNOと言うのだ。大地を損傷するような製品、そしてそれを生み出す企業を私たちはボイコットする。愛する地球のためなら監獄にでも行こう。平和に、そして新婚の寝室へ向かう花婿、花嫁のように幸せそうに。恐れるものは何一つない。

そして私たちはYESと言おう。シンプルで持続可能な生き方に。何兆本もの木を植えることに。循環型、再生型の農業に。私たちは健康的な、オーガニックで栄養豊かな食べ物を食べる。地球上至るところでそういう農作物を育てている小規模な農業を支援する。職人たちを応援する一方で、自分もまた手を使うアーティストとして生きよう。世界中の女性たちの味方であろう。悪しき力には抗い、その力を無化しよう。善きものが栄えるのを助けよう。

(続く)

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