辻信一2022年2月2日新スロー・イズ・ビューティフル序論 (4)見る・見られる 二〇二〇年三月末、やっとぼくの長年の念願がかなって、『常世の舟を漕ぎて(熟成版)』が出版された。それは、漁師で水俣病当事者の緒方正人から、ぼくが二十七年間にわたって続けてきた聞き書きをまとめた本だ。コロナ騒動のあおりを食って、予定されていた出版記念の行事はす...
辻信一2022年1月31日新スロー・イズ・ビューティフル序論 (3)ワン・ヘルス(一つの健康) 二〇二〇年三月十八日、科学者で環境運動家でもあるインドのヴァンダナ・シヴァの「ワン・プラネット ワン・ヘルス(一つの地球、一つの健康)」という記事がネット上で公開された。それはこう始まる。 私たちは“ひとつの地球”に暮らす地球家族だ。その多様性と...
辻信一2022年1月26日新スロー・イズ・ビューティフル序論 (2)みんな、特別なアーティスト 振り返ってみよう。いわゆるコロナ危機が始まったのは、一年前の冬だった。やがて、春が来て、春が終わり、長い梅雨が来て、暑い、暑い夏が来た。結局、二〇二〇年が二〇一六年と並んで観測史上最も気温の高い年であったことも、今ではわかっている。コペルニクス気...
辻信一2022年1月23日新スロー・イズ・ビューティフル序論 (1)去年の今頃書いていた原稿を読んでいただきたい。これは、延期になってしまったある雑誌の連載企画『新スロー・イズ・ビューティフル』の最初の3、4回分の原稿である。連載をまとめて一冊の本にするという計画だったのだが、連載が延期になったことで、主にコロナ禍をめぐる時期的なことを書い...