• 辻信一

バウさんからの手紙

韓国のバウさんこと、ファン・デグォンさんから小包と日本語で書かれた手紙が届いた。小包には、お菓子類と一緒に、新刊の本と雑誌が入っていた。ぼくには読めないが、手紙には「過去35年間の韓国現代史をBAUの視点から整理したものであります」とある。どうやら自費出版らしい。雑誌の方は、彼についての特集記事があり、表紙のモデルも彼だ。雪の中で撮影したらしい。場所はどうやら彼の住む霊光(ヨングワン)山中の「生命平和村」。



手紙にはうれしい報せがあった。「昨年の私のスパイ団事件で再審で無罪判決を受けました。事件が起きてから、35年ぶりのことであります」。目頭が熱くなった。


彼の運命を大きく変えたこの「スパイ団事件」については、『野草の手紙』(自然食通信社)をぜひ読んでほしい。またぼくが仲間たちと制作したDVD『ライフ・イズ・ピース』(ゆっくり堂)で、彼の生き方と思想をぼくたちなりに描いた。その表紙と、中のプロフィール、ぼくの小文を見ていただこう。


バウさんの伝記を書くつもりで、すでにインタビューも大方済ませたのだが、そのままにして数年経ってしまった。スパイ団事件の無罪判決が出たことで、背中を押されているような気もする。その一方で、彼の闘いは続き、新しい展開を見せる。過去10年ほどを反核(日本でいう反原発)運動で中心的な役割を果たしてきた彼は、今またエコロジー運動の新しい筋道を見出したようだ。手紙にはこうある。「気候の危機を突破する新しい運動の理念としてバイオリジョナリズムを見出した」と。全国をウォーターシェッド(流域)ごとに分けて、それぞれの地域住民が直接統治する新しい運動を展開するのだ、と。


また新しい一章が伝記につけ加わりつつある。すぐにでも彼の元に駆けつけたい思いだ。






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