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執筆者の写真信一 辻

大丈夫じゃなくて、いいんだよ。



久しぶりに、宇宙塵がナマケモノ倶楽部のメーリスにメールをくれた。

<オリンピックよりクラゲを見よう、加茂水族館のユーチューブで。オールナイトだよ。宇宙塵>


Wow! オールナイトでクラゲ!!! なんか美しい詩か、短歌みたいだ。 今思えば、20年前に書いた『スロー・イズ・ビューティフル』は、脳性マヒの障がい者でもあるパントマイマー・詩人、宇宙塵との出会いが触媒となって、形作られていったのだった。 この本の第8章に宇宙塵が登場する。 彼はオリンピックが嫌いだと言う。そして、そこに「金魚のフンのようにくっついている」パラリンピックは特に嫌だ、と。「より速く、より高く、より遠く」。国旗を振って「頑張れ」の大合唱。普段から、健常者たちに「頑張って」と言われるのが嫌いな宇宙塵には、二年に一度めぐってくるこの「頑張り」の季節は一層不愉快だ。


コロナ禍とオリンピックと炎暑。

「アーティストとは特別な人のことではない。全ての人が特別のアーティストなのだ」と言ったクーマラスワミの言葉に倣って、こう言ってみよう。

障がい者とは特別な人のことではない。全ての人が特別な障がい者なのだ。


そういえば、上と同じ8章には、出会って間もなく宇宙塵が教えてくれた、加川良の「教訓1』という歌の歌詞が引用されている。いつ聞いてもいい歌だが、こんな日にこそ、じっくり聞いてみてほしい。


青くなってしりごみなさい。

逃げなさい、隠れなさい。

死んで神様と言われるよりも

生きてバカだと言われましょうよね。

きれいごと、並べられた時も

この命を捨てないようにね。

(加川良「教訓1」より)


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